整形外科とは?
整形外科とは、動物の骨や筋肉、関節などの外傷や疾患について診断・治療する部門のことです。主な病気や症状としては、骨折、脱臼、腱・靭帯損傷、関節炎などが挙げられます。整形外科では、レントゲンや超音波などの検査を行い、状態に応じて手術や投薬、リハビリなどの治療方法を提供しています。
気になる症状
- 脚がつかない
- ジャンプができない
- 脚、関節を触ると痛がる
- 散歩に行きたがらなくなる
検査内容
- 整形外科科学的検査
整形外科疾患の診断のために重要な検査であり、実際にワンちゃん・ネコちゃんの体を触り、痛みの箇所・痛みの程度を判断します。 - レントゲン検査
犬や猫の骨や関節および周囲軟部組織の構造を評価する検査で、骨折や脱臼、関節炎や骨の変形などの診断が可能です。 - 超音波検査
靭帯や腱の損傷や炎症、関節炎の評価をするのに有用な検査です。 - CT検査
レントゲン検査ではわかりにくい脊椎や関節内の細かな異常を診断することが可能です。 - MRI検査
靭帯や腱といった軟部組織の損傷や炎症の状態、脊髄疾患の評価をすることが可能です。 - 関節液検査
関節内の関節液を注射針で吸引採取し、感染症や炎症の評価をすることが可能です。 - 関節鏡検査
専用の内視鏡を用いて関節構造内の変性、損傷の状態などを詳細に観察する検査です。
代表的な病気
- 骨折
落下や転倒、交通事故などが原因で強いエネルギーが骨に外的に加わることにより起こります。治療は、骨折の部 位、分類などによりますが、ギプスなどの外固定、髄内ピンやワイヤーによる固定、プレートによる固定、創外固定を選択いたします。 - 脱臼
落下や転倒、交通事故などにより関節にエネルギーが加わることで関節が破綻する病態です。軽症であれば、徒手により関節を整復し一定期間包帯で固定する治療を行いますが、重症例では靭帯の移植、人工靭帯やアンカー法による固定により整復を試みますが、それでも治らない場合はプレートを用いて関節自体を固定します。 - 関節炎
関節内で痛みや腫れ、熱感などが生じる炎症性疾患です。その原因は、細菌やウィルスなどの病原体が関与する感染性の関節炎、また免疫反応が関与する免疫介在性の関節炎に分類されます。治療はそれぞれの原因に応じた薬物の投与が行われます。 - 股関節形成不全
成長期の犬に発症する股関節大腿骨頭の亜脱臼あるいは完全脱臼を特徴とする疾患です。軽度から重度の変性性関節疾患を発症し、後肢の機能不全を呈します。症状は、歩様の変化、運動時の不快感、特定の姿勢で不快感が表れるなどが含まれます。症状の発現は若齢犬と成犬の2群にみられ、前者は関節の緩みによる疼痛、運動機能不全と関連し、後者は変性性関節疾患によると言われています。治療は鎮痛剤やサプリメントの投与、運動制限、体重管理が挙げられます。また、外科的には大腿骨頭頸部切除術、三点骨盤骨切除術、股関節全置換術などが行われます。 - 前十字靭帯損傷
一般的に犬で起こる、膝関節内に存在する前十字靭帯が部分的または完全に断裂する病態のことを指します。一般的には運動中に急激な方向転換や飛び跳ねることが原因で発症することが多く、歩行困難や関節が安定しなくなるなどの症状が見られます。治療は鎮痛剤やサプリメントの投与、運動制限、体重管理などの保存療法または、関節外法やTPLOなどの外科的整復が行われます。 - 膝蓋骨脱臼
外傷性にも発生しますが、主に成長期に認められるため、先天性もしくは発育期の障害と考えられている膝蓋骨が内方もしくは外方に脱臼してしまう病態です。治療は外科的整復が一般的であり、脱臼の症状が軽症であれば、鎮痛剤やサプリメントの投与、運動制限、体重管理といった保存療法が選択されることもあります。 - 大腿骨頭壊死症(レッグ・カルベ・ペルセス病)
主な原因は大腿骨頭部が血行障害により血液の供給が滞り、骨が壊死して溶けてしまう病気です。トイ犬種といった小型犬種に多く、跛行や疼痛といった症状を示します。治療は外科的治療が一般的で大腿骨頭頸部切除術が選択されます。