耳科とは?
耳科とは、犬や猫の耳の病気やトラブルに対応するための診療科目です。耳は動物の体の中でも比較的複雑で、様々な疾患やトラブルが起こりやすい箇所です。動物の耳の状態を観察し、適切な検査や治療を行うことで、動物の健康と快適な生活をサポートするのが、動物病院の耳科なのです。
気になる症状
- よく頭を振っている
- 耳を傾ける
- 痒がっている
- 耳が汚れて、臭いがする
- 耳の周辺が赤く腫れている
検査内容
- 耳の外観検査
まずは、耳の形状や様子を観察します。腫れや赤み、傷口や耳垢、耳垢の量や色、耳の中に異物があるかどうかなどを確認します。 - オトスコープ検査
耳の中にカメラのような器具を入れ、耳の内部を観察します。炎症や腫れ、耳垢や異物、中耳炎の有無などを確認することができます。 - 細胞診検査
耳垢や耳の炎症などのサンプルを採取し、顕微鏡で細胞の状態を観察することで、炎症の程度や原因の特定を行います。 - 微生物培養検査
耳垢を採取して、顕微鏡で微生物が存在するか、種類、数を確認し、その微生物に対し、どんな薬が有効かを調べます。 - レントゲン検査
中耳炎、外耳炎、鼓膜の損傷があった場合、外耳道の石灰化や液体貯留がないかを調べるために頭部レントゲン検査を行います。 - CT検査
レントゲン検査では判断できなかった場合、CT検査で細かく調べます。
代表的な病気
- 耳ダニ感染症
耳ダニが犬や猫などの動物の耳に寄生して引き起こされる病気です。耳ダニは小型の寄生虫で、耳垢中に生息します。耳ダニの感染症の症状には、頭を振る、耳をかく、耳の中のかゆみや痛み、耳垢の蓄積、耳からの出血などがあります。 - 外耳炎
外耳道の皮膚や軟骨の炎症です。主に犬や猫に発生し、外耳道に耳垢や細菌、真菌、耳ダニなどが蓄積されることで、引き起こされます。その発生は複雑であり、外耳炎の発生に関与する因子を理解する必要があります。①好発因子(解剖学的要因、生活様式、環境)②原発性因子(寄生虫、細菌、酵母、耳道内腫瘤、アレルギーや自己免疫性疾患といった基礎疾患)、③慢性化因子(上皮肥厚、アポクリン腺の増殖、軟骨の石灰化、中耳炎、細菌や酵母の感染)が関与する因子と考えられています。症状には、耳がかゆいという行動、頭を激しく揺り動かす動き、耳垢が黒っぽくみえる、耳から異臭がするといった特徴が挙げられます。 - 中耳炎
鼓膜を通して外耳炎から波及した細菌や酵母の感染により中耳に炎症が起こる病気です。中耳炎は聴覚障害や顔面神経麻痺を引き起こすことがあります。