予防・ケア
Prevention & Care
フィラリア予防
フィラリア症とは
フィラリア症(犬糸状虫症)は、フィラリアと呼ばれる寄生虫が蚊を経由し、犬や猫の心臓や肺動脈に感染する病気です。重度の場合、死に至る危険もあり、予防しなければほとんどの犬が感染してしまう恐ろしい病気です。一度かかると治療が大変困難で厄介な病気ですが、正しく投薬すれば確実に予防できる病気です。
感染経路
症状
- 元気がなくなる
- 咳をする
- 食欲がなくなる
- お腹が膨らんできた
- 散歩を嫌がるようになる
お薬の投与期間
フィラリア症の予防は、前の月に体内に入ったフィラリアの幼虫を月に1度成虫になる前に駆除するというものです。
蚊を見なくなったからといって予防を中断してしまうとフィラリアに感染してしまう可能性があります。フィラリアの予防期間は、蚊が出始めた1か月後から蚊を見かけなくなった1か月後までです。
温暖化の影響により、蚊の出現期間は年々長くなってきており、当院では5月から11月までの7ヶ月間の予防を推奨しています。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
フィラリアに感染する可能性のある期間 | |||||||
フィラリア予防を行う必要のある期間 |
※自己判断でフィラリア予防薬の投与開始を遅らせたり、投薬をやめてしまう方がいますが、感染のリスクが高くなるため処方された期間は毎月しっかり飲むようにしてください。
犬の予防法
検査について
フィラリア予防薬は、要指示薬であり、毎年予防薬を始める前に、検査が必要とされる処方薬です。フィラリアに感染している状態で予防薬を飲んだ場合、重篤な副作用が起こるケースが報告されております。薬の飲み忘れや、吐き出しによって、万が一感染していた場合の事故を防ぐことが目的です。
注射タイプ
年1回
プロハート
毎月必要な投薬を忘れてしまう方やお薬を飲むのが苦手な子におすすめです。1回の注射で、1年間フィラリア予防が可能です。
※1歳未満の子犬や重い持病がある子は接種できません。
飲み薬タイプ
月1回 × 7ヶ月
小さな錠剤もあれば、おやつ感覚で食べられるチュアブル錠もあります。1つのお薬でフィラリア+ノミ・ダニ予防ができる製品もあります。
猫の予防法
犬の病気と思われていますが、実は猫もフィラリアの被害を受けます。猫は犬と比べてフィラリアの寄生数が少ないため、検査での診断が難しく、発見が困難な病気です。最近では10頭に1頭がフィラリアに感染していたという報告があります。また、感染猫の約4割が室内飼育されていたという調査結果もあります。完全な室内飼いでも感染しないとは言い切れません。室内でも蚊が入れば感染リスクは充分にあるため、確実な予防を続けることが大切です。
スポットタイプ
月1回 × 9ヶ月
月に1回皮膚につけるタイプのお薬です。フィラリア症の他に、ノミ、ダニ、消化管内寄生虫を同時に駆除する効果があるため、3月~11月の9ヶ月間予防することをおすすめします。
ノミ・ダニ予防
吸血して痒みや皮膚炎を引き起こすだけでなく様々な感染症を媒介するノミ・ダニ。その中には人にも感染する病気もあります。
ノミについて
ノミを1匹見つけたら周りにはノミの幼虫や卵、さなぎが100匹いると言われています。気温が13℃以上あれば繁殖には十分な環境となるため、寒い冬でも暖房を使用しているお家では通年予防をおすすめします。
ノミが引き起こす病気
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 瓜実条虫(サナダムシ)
- 貧血
ヒトにも感染するノミの病気
- ノミ刺咬症
- 瓜実条虫
- 猫ひっかき病
ダニについて
草むらなどに潜んでおり、散歩中の犬や外出中の猫の身体に寄生します。マダニは貧血や皮膚炎の原因になるだけでなく、恐ろしい病気を媒介します。また、マダニを発見しても無理に取ろうとすると、マダニの口が皮膚の中に残り化膿してしまう可能性があります。慌てて取ろうとせずに受診してください。
ダニが引き起こす病気
- SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
- 猫ヘモプラズマ症
- 貧血
- ライム病
- 犬バベシア症
- Q熱
ヒトにも感染するダニの病気
- SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
- 日本紅斑熱
- ライム病
- Q熱
ペットも人も共通に感染する病気を人獣共通感染症(ズーノーシス)と言います。ノミやダニは痒みだけでなく、命の危機を招く病気を引き起こす恐れがあります。病気が発生してしまってからでは手遅れです。笑顔で楽しい毎日を過ごすためにも毎年しっかりとした予防を続けてください。
予防期間
当院では毎年3月~11月の9ヶ月間ノミダニ予防をすることを推奨しています。しかし、冬でも室内の温度が13℃を超えていれば十分に活動できるため、年間を通して予防することをおすすめします。
犬のノミ・ダニ予防
- スポットタイプ
月に1回皮膚につけるお薬です。 - 飲み薬タイプ
効果が1か月間、または3か月間持続するお薬があります。
猫のノミ・ダニ予防
- スポットタイプ
月に1回皮膚につけるお薬です。同時にフィラリア、消化管内の寄生虫の駆除にも効果があるものもあります。